人は自分の経験と先人の記した歴史書の両方から学ぶことが必要だと教えてくれる本

司馬遷(しばせん)が著者の史記という歴史書があることは知っていたが、

あるとき史記の膨大な全てが漫画家の横山光輝の尽力で完全漫画化されたと知って本屋で探してみた。

 

今回はビッグコミックスゴールド史記12巻を題材に、

他者との賢い接し方と慢心の恐ろしさについて考えてみようと思う。

 

ビッグコミックスゴールド史記の第12巻とは何か?

独裁者である秦の始皇帝が亡くなると、

過酷な法律で庶民を厳罰に処してきた秦帝国は滅亡する。

 

そのような中で新しい皇帝の座をめぐって2人の英雄が熾烈な戦いを繰り広げる。

英雄の名前は項羽と劉邦である。

史記12巻では項羽と劉邦の2人の人材登用の方針や人に対する接し方の違いが

運命を大きく変えてゆく様子が描かれている。

 

他者との賢い接し方のヒント3つ

1)「知恵ある者でも千に1つの考え間違いがあり、

愚か者でも必ず千に1つ良い考えが浮かぶと申します」(武将の李左車が語った台詞)

現代日本に当てはめて考えてみると、学者でも間違ったことを言うことがあるし、

 

凡人でも1つの良いアイデアで地域貢献を出来る場合があるという感じだろう。

会社組織の中で、課長や部長は、部下の進言を活用出来ているだろうか?

 

2) 真の知とは決断することなのです 

(説客として有名なカイ通の台詞)(説客は、ぜいかくと読みます) 

現代社会に当てはめてみると、アイデアや情報があっても、

最終的な決断のミスによって自分の人生を台無しにすることもある。

決断と言うのは難しいものだ。頭の良いことと、

決断力があるということは別の能力になる。この両方を兼ね備えている人は少数だろう。

だからこそ、決断力というのは重要だともいえる。

 

3) 天よ見たか、わしは弱くて負けたのではないぞ(英雄の項羽が言った台詞)

現代社会で考えてみると弱者に負けることを考えていない

権力者の言葉と重なる部分がある。

 

弱者でも目的意識と将来の展望が明確化されれば、

強力な力を発揮することがある。
★3つのヒントの解説

1 、「知恵ある者でも千に1つの考え間違いがあり、

愚か者でも必ず千に1つ良い考えが浮かぶと申します」

 

劉邦の部下で大将軍の韓信が、項羽に味方している趙国を攻めたとき、

趙の国王は李左車が提案した必勝出来る作戦を

採用しなかったために敗れて捕虜となった。

 

韓信は勝利した後に、敗者である李左車に頭を下げて、

今後も勝ち続ける方法を教えて欲しいといった。

 

そのときに武将の李左車が語った台詞が、

「知恵ある者でも千に1つの考え間違いがあり、

愚か者でも必ず千に1つ良い考えが浮かぶと申します」だったのだ。

 

韓信は李左車の教えによって、燕の国王を降伏させることにも成功して、

しばらくの間は連勝を続けることになる。

 

会社でも、自分より地位が低い人に、部屋の中でこっそりと頭を下げて、

重要なことを教えてもらうことは恥ずかしいことではない。

自分が知らないことによって、将来もたらされる不利益のほうが恐ろしい。

こっそりと頭を下げている人は、教えもこっそりと習得していたりする。

 

2 、「真の知とは決断することなのです」

劉邦の家臣で大将軍の韓信が、燕の国を降伏させた後に斉の国も倒したことで、

中国大陸は項羽と劉邦の2大勢力の最終決戦の雰囲気が強まっていった。

 

そんな時に説客として有名なカイ通が韓信に対して、

項羽と劉邦は両方とも信用出来る人間ではないことと、

天下が統一されれば韓信が用済みにされることなどを説明した。

 

そして、カイ通は、「真の知とは決断することなのです」と述べて、

項羽と劉邦が争い続けて庶民が疲弊したところで、

天下の調停者として名乗りを上げるために第三勢力として力を蓄えるべきだと教えた。

 

しかし、韓信はカイ通の進言を受け入れずに

劉邦の命令で項羽を滅ぼして早期の天下統一を助けてしまう。

結果として天下統一後に、用済みとなった韓信は、

家族もろとも劉邦によって粛清されてしまうのだった。

 

現代の日本でも、人柄や人格に問題がある上司との人間関係や、

適度な立ち位置について真剣に考えておかないと、

手柄を横取りされたり、弱みを握られたりして、

予想外の冷遇人事異動に巻き込まれることがあるかもしれない。

 

会社組織では決断の連続があり、それが人間関係を激しく浮き沈みさせるものだ。

知識を決断に結びつけないと不完全なままで終わることもある。

 

3、 「天よ見たか、わしは弱くて負けたのではないぞ」

垓下の戦い(がいかのたたかい)で、劉邦に敗れた怪力の項羽だったが、

彼は逃走中に天にたいして1度だけ宣言をしている。

生き残った28人の騎馬武者に対して、今から目の前の敵の陣に28人で3回突撃する。

3回とも敵を蹴散らしたら、

「今回の敗北は天に見放されたからであり敵に負けたからではないと思え」と演説した。

 

この3回の突撃は項羽の小さな勝利となり、

彼は天に向かって「天よ見たか、わしは弱くて負けたのではないぞ!」と叫んだ。

 

小さな勝利宣言をした後に、大きな大河である長江の渡し場に到着した項羽だったが、

対岸にある故郷の人々に、

自分と一緒に戦ってきた彼らの親戚や家族を死なせてしまったことを

伝えることが出来ない心境になってしまう。

 

故郷に帰ることを断念した項羽は渡し場の周辺で数百人の敵を倒すが、

他の部下が全員討ち死にしたことで、1人ぼっちとなり最期に自決をする。

 

結局は、英雄の項羽は自分の悲惨な最期について、

天に見放されたから負けたのだと強弁を繰り返し、敵に負けたのだとは認めなかった。

現代社会で考えた場合、大企業の社長だって、

商品トラブルを起こして多くの消費者を敵に回したら項羽のようになる場合もあると自覚するべきだろう。

 

●まとめ

ビッグコミックスゴールド史記12巻では有名な英雄たちの戦いが描かれていた。

英雄といえども最期まで生き残ったのは一部だけである。

 

現代人の中にも項羽のような傲慢な気持ちが潜んでいるし、

韓信のような謙虚な気持ちもあったりするだろう。

 

劉邦は酒癖が悪く、武力や知力も他の英雄には及ばなかったが、

彼は賢者の意見は適切に採用して、

人材面でも多様な人材を集めることで項羽に逆転勝利した。

 

自分を助けてくれるヒントや知恵は、

身近にあっても気づかないことが多いが、劉邦は適切に対応をして漢帝国を建国した。

現在人も、他者との賢い接し方と慢心の恐ろしさについて、

史記から学べることは多いのではないだろうか。

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